東の海に吹く風


Final Fantasy


   


「もし、私がこの卑しい手で、貴女の聖なる神殿を汚してしまったなら
優しく、そっと、その償いをしましょう、
私の唇は待っているのです。恥じらう巡礼者のように、
私の卑しい手が汚したその痕を、優しい口づけで拭い去るために」

「巡礼者さん、それじゃああなたの手がかわいそう
だってこうしてきちんと信仰のおこないを示しているじゃない
聖者の御手は、巡礼者たちが手を触れるため
そして手のひらと手のひらを合わせるのが巡礼者たちの口づけでなくって?」

「唇は聖者にも、巡礼者にもありましょう」

「ええ、もちろん。でもそれはお祈りのために使うもの」

「ならば、私のかわいい聖女よ、手のすることを唇にもさせよう
私の唇の祈りを聞き入れて欲しい。信仰が絶望に変わる前に!」

「聖者は動きません。たとえお祈りを聞き入れるとしても」

「では、そのまま動かないで。私が祈りの褒美をいただく間だけ
――さあ、これで私の罪は清められた。貴女の唇によって」

「まあ、じゃあ私の唇があなたの罪を背負うのね」

「私の唇から罪を? ああ、なんという優しいお咎め!
もう一度私の罪を返してもらおう――」

「――お上品なキスだこと」



…以上シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』の1幕5場より。クレメリでこんな会話してたかな…してるといいな(妄想)。自分の趣味が入りすぎですが、クレメリ、 こういう芝居台詞でのやりとりでも自分の中ではあんまり違和感がなかったりします。きっと名前のせいですね(詩人だし…)。
聖堂のすみっこで二人でいちゃいちゃしててローファルに見つかって怒られてたり。とか。ゲーム後半になるとクレティアンがメリアドールのことを貴様呼ばわりしてたり(そして大抵その最中にメリアの剛剣で一撃死)で、仲がこじれてしまうので、ついつい清廉なお付き合いをしてた頃のクレメリを描きたくなります。ふー。

ちなみに、シェイクスピアの原語では二人の恋人がソネットの形でささめき合っています。キスの一つや二つに随分と丁重な言葉遊びをしているんです。アテレコ楽しいです。



  


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