東の海に吹く風


Final Fantasy Tactics


   



その時歴史が動いた〜聖アジョラ爆誕の夕べ〜(準備編)


ヴォルマルフ「今年のアジョラ聖誕祭の祝宴の余興に、劇をすることになった」
ローファル「何なんです、出し抜けに」
ヴォルマルフ「猊下がお望みなのだ。我らにアジョラのめでたき生まれを知らせる劇を、と。これも栄えある神殿騎士の役目の一つ」
ウィーグラフ「ああ、宴会の隠し芸、みたいなところか…」
メリアドール「でも楽しそうね。劇をやるなら配役を決めなくちゃね。イズ、何がいい?」
イズルード「えっ…オレは、…通りすがりの村人Aでいいよ…農家をやっとる設定でさ…」
ヴォルマルフ「おのれ…ゾディアックブレイブともあろうものが、なんという手抜き発言を…」
イズルード「ち、父上ッ!? 違います、これは決してサボタージュしようとかそういう意味ではなくて…オレだったら、きっとユードラ帝国に虐げられている民衆の、貴族への怒り鬱憤を演じきって見せます!」
メリアドール「この子ったら…やる気がないのかあるのか分からないわ…」
クレティアン「というか七人しかいないのに、エキストラまで人員を割けないでしょうが」
ローファル「そうです。エキストラには私が適当に見繕ってきますから。さっきも、我々とともにアジョラを祝う劇にどうかと、気の短そうな少年に声をかけたんだが…」
バルク「どうだったんだ?」
ローファル「家畜に神がいるはずがないッ、と一蹴されてな――」
クレティアン「勧誘lv8のローファルの手にも負えないやつが…侮れないな」
ヴォルマルフ「さっさと決めるぞ。アジョラ役は、平等にくじで決める。依存はないな?」
ローファル「仰せのままに」
ヴォルマルフ「(≧∀≦*)マークが出た奴がアジョラを演じる。さあ引いてくれ」
メリアドール「でも、これでもしアジョラ役が、もし――」
イズルード「そう、姉さんが当たるかもしれない。そうしたら姉さんの麗しい男装姿が…」
ウィーグラフ「!! イカス!」
イズルード「だろ!!!!?」
メリアドール「星よ降れ! 星天b」
ヴォルマルフ「娘よ、落ち着け。私も見たいから。――で、全員引いたな。さてアジョラは誰だ?」
バルク「(≧∀≦*)」
クレティアン「ファァァーラム!!」
バルク「ンだよ、文句あンのか?」
クレティアン「いえ、何でもないです…」
ヴォルマルフ「よし、決まったな。メリアドール、お前がアジョラの母親をやるといい。私が旦那になる」
メリアドール「年齢差がひどいことになってるわね…まあしょうがないわね。ところでバルク、ちゃんと聖典のあらすじは知っているわよね?」
バルク「あたぼうよ! 井戸に毒をばらまいてくれば良いんだろ?」(※作者註:アジョラは汚染された井戸水を予言した人です)
ローファル「聖典をきちんと頭から読むことを全力ですすめます。今すぐに」
バルク「そんなもの持ってない」
ウィーグラフ「信仰の浅い者よ…私はちゃんと聖典を持っているぞ…読んでやろう、ほら、『聖アジョラ、野望を抱き、おのが夢の実現のために戦った革命家』と」
クレティアン「それ発禁の裏聖典だから! しまえ早く! ヴォルマルフ様の剛剣が降り注ぐ前に!!」
ヴォルマルフ「…貴様ら、猊下に失礼があったらただじゃおかないからな。私に恥をかかせるなよ。うむ、ウィーグラフ、お前は羊飼いで良いな?」
ウィーグラフ「 な ん で で す か 」
ヴィルマルフ「いや、お前の顔を見ていると…思い出すのだ。羊を」
ウィーグラフ「似ている? 私が、羊にッ!?」
ヴォルマルフ「そうだ、ルカビー枠が一つ空いているのだ…どうだ…我々と共に――」
ローファル「団長、団長、そういう話はオフレコでお願いします」
メリアドール「父さん…何の話?」
イズルード「…? 身体が…寒気が…」
クレティアン「貴殿らには関係のないことよ…」
ヴォルマルフ「おうおう、うっかりしとったわい。素が出てしまった。ウィーグラフ、羊にはベリアスと名付けるが良い」
イズルード「いいな−! ウィーグラフは! オレもウィーグラフと一緒のがいい!」
ウィーグラフ「悪魔の名前を付けた羊を連れて神の御子のお祝いにいくんですか。嫌がらせじゃないですか。イズルードもそんなに嬉しそうな顔をするな…何が楽しいんだ」
ローファル「ならば、私は賢者でもやりましょうかね。神の子を祝うための金の髪飾りに、死すべき人の子の受難のためにフェニ尾を、そして良き香りの妙薬ポーションを捧げ持って祝いましょう…」(※作者註:金の髪飾り…12000G、フェニ尾…300G、ポーション…50G)
バルク「おいおい、なんか途中からいきなり小道具がしょっぱくなってないか!?」
ローファル「忘れたのですが、我らは清貧の騎士であると…」
バルク「ああ…んん、まあそうだろうけどさぁ…」
メリアドール「私のシャンタージュ貸してあげるから…だめよ、他の騎士団にここはよっぽど金がないんだ、って思われるわよ。なめられたら終わりよ!」
ローファル「ご心配なく、その分、豪華キャストを用意してますから。まず銀の貴公子ことエルムドア侯爵が参加してくださる」
ウィーグラフ「なんと! 侯爵直々に!」
ローファル「神聖ユードラ帝国の皇帝として熱演をしてくださるそうで」
イズルード「そういえば、侯爵様、なんか吸血鬼みたいな赤いマントを羽織って『赤子の生き血を一人残らずすすってやるぞ!フハハハハハハ』ってノリノリで練習してたような」
メリアドール「それは…ただの吸血鬼ね」
クレティアン「ああしかもどこにそんなアグレッシブなセリフが…」
バルク「間違いなく美女を侍らせてくるぜ」
ローファル「他には、異端審問官のザルモゥ氏」
メリアドール「ふぅん」
ローファル「…の幻の魔法剣、手に汗握るアクションシーンも用意されてます」
イズルード「そ、それは気になる!」
クレティアン「アジョラ生誕劇のどこにアクションシーンが…?」
メリアドール「さあ? 聖石狩りでもやるのかしらね?」
ローファル「それにベオルブ家のザルバッグ殿も友情出演してくださいます。宿屋の主人です」
ウィーグラフ「ベオルブの無駄遣い! 配役おかしいだろ!」
ローファル「すべてヴォルマルフ様の采配です。苦情はあちらまで」
ウィーグラフ「ああ…納得した」
ヴォルマルフ「何だ、問題があるのか? あとはさっさと練習することだな。以上。解散!」


(上演編に続く)

・続きません
・クレちゃんの配役だけ決まっていないのはそういう仕様だからです





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